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コンドールマン ~正義のシンボル、川内康範三部作のまさにトリを取ったヒーロー [コンドールマン]

正義のシンボル コンドールマンは、1970年代前半に川内康範先生(筆者は先生と呼ばせていただく)が創造したヒーローものの最後を締めくくるにふさわしい作品であったと思う。レインボーマン、ダイヤモンド・アイ、そしてコンドールマンと続く、川内ヒーローたち。石油危機や物不足、節電による深夜テレビ放送中止など、日本は低成長時代を迎える中、それらを打ち砕くがごとく第三のヒーローとして、コンドールマンは川内氏自らが企画したという。そして川内氏のこの思いは、ヒットメーカー平山亨氏に託された。

原作および設定は川内康範氏が手掛け、脚本やキャラクターデザインなどの文芸面は、川内側で集めたメンバーを使ったという。その中には手塚治虫氏の愛弟子であり、虫プロで『サンダーマスク』制作に携わった者達がおり、こういった人材の登用は、当時流行っていた仮面ライダーやゴレンジャーなどの石ノ森ヒーローとはまた違う世界観を呈することとなった。

人間の心に潜む悪い欲望や願望をモンスターに擬人化した敵役はとてもユニークであるし、物語の根底に流れる社会悪・人間悪を糾弾する川内康範氏の目が鋭く光っている作品となったが、視聴率的には伸び悩み、わずか半年(2クール)で終了してしまうという残念な番組であった。では当時のプロデューサー、平山亨氏の話をどうぞ。



アナウンサー;
「番組スタートのいきさつから・・・」

平山;
「原作者の川内康範先生はね、テレビ局に企画を持っていくときは直接社長室に『社長はいるか?』って入って行かれるそうでね。『コンドールマン』の時も先生の来訪を受けた局の社長は、急きょ局長・部長を集合させて、先生の企画を実現させるように命令した。局長たちは制作会社の東映に連絡して、川内先生と会ってくれるよう伝えた。テレビ局の片岡プロデューサーが川内先生と親しくて仲を取り持ってくれて、東映が制作を請け負うことになり、私が呼ばれてその概要を片岡さんから聞いたわけ」

アナウンサー;
「スタッフに関しては、どうでしたか?」

平山;
「脚本家はもう伊東恒久さんで決まってたんだ。レインボーマン・ダイヤモンドアイと、歴代の先生の作品をやられてきた方で、『先生の作品は伊東さん』と決まってたんだね。キャラクターも先生の方で描いたものを渡されるから、こちらはそれを受け取って造形屋さんに頼むわけ。『ゼニクレージーって、こんなヤツか』って、上がってきた絵を見て思ったっけ。でもね、この体制がよかったんだなぁと、後になって思ったよ。それはね、私が先生の意向をいろいろ聞いて脚本家にそれを話しても、先生の意向をくみ取った脚本に仕上げられたかどうかわからない。そういう意味では、先生の考えを熟知していた伊東さんに書いてもらったことは、こちら側としても非常に助かったな、と。脚本の打ち合わせでも、先生の狙いをよくわかって教えてくれたから、やり易かったね。デザインもそう。うちでやったら、ああまで先生のイメージを絵に出来たかどうかわからない。それと私よりもう一歩先生に歩み寄れる、片岡プロデューサーがいてくれたことも助かった」

アナウンサー;
「平山さんとしての狙いはどうでしたか」

平山;
「とにかく先生のやりたい作品を創るというのが、一番の狙いだった。私も勉強させてもらうつもりでいたんだよ。梶原一騎先生、石ノ森章太郎先生、横山光輝先生、水木しげる先生、そういう先生方の作品をやらせてもらった時も、先生方の描きたい狙いに忠実にとやってきた。このコンドールマンも、川内先生の狙い、川内先生の心に向かって進めようと思ったんだ」

アナウンサー;
「特に苦労したところは?」

平山;
「なにしろ川内先生だからね、すごく緊張したね。先生の手法は目に見えない観念を絵にするという超高級テクニックなんだ、シナリオにしてもね。伊東さんはその辺をうまくくみ取って脚本に起してくれていたけど、映像にするのは難しい話でね。モンスター一族が買占めをして日本中が食糧難に陥るというのがあったけど、お腹がすいてたまらない、そんな気持ちを平和で豊かな時代の子供たちが理解できるのか、どうやったら伝えられるのかが難しかったなぁ~。これを撮った監督も悩んで、『これでいいのかな?』って言ってたからね」

アナウンサー;
「そういった感覚を表現するというのは、むずかしいですよね・・・」

平山;
「だから面白んだよ。そこで創意工夫するのがね。さっきの場面で、お腹をすかしている人達に、人間に化けたモンスターが『ステーキを見せびらかしてうまそうに食べる』なんていう見せ方は、悲痛さが伝わったかなと思うよ。ヒーローの勇ましさ、カッコよさを伝えるのは得意とする私達だけど、こればっかりは参っちゃったね(笑)それでも先生は、『よくできてる。平山いいぞ』ってお褒め下さったようで。東映としても鼻高々だったらしいからね。だからもう少し視聴率が上がってスポンサーもうまく獲得できていれば、もっと長く放送できたんじゃないかと思うと、残念だね」

アナウンサー;
「特に印象に残っているエピソードがあれば・・・」

平山;
「主役・三矢一心役のオーディションだね。先生が『目をみれば判るんだ』って言ってね。レインボーマンもそうだったらしいけど、目がキリッとしてないとダメなんだ。次から次に人を連れて来てね、そうしてようやく佐藤仁哉くんが現れて、彼に決まったわけだよ。
あと、ニューヨークの高層ビルの一室で会議をしているモンスター一族。窓からニューヨークの街が見えてて、川内先生らしい世界観というか、ああいう感覚というか世界観は、京都撮影所で育った私達には無いものだったからね」

「人間世界でヒーローが神の域に達しているようなあの感覚は、私達には無かったものだから、やっていて面白かったし、勉強になった。『コンドールマン』は私が携わった作品の中ではたいへん特殊な存在で、川内先生の観念を映像化するという面白い機会に出会えてよかったなと思っているんだ。ただ私の力至らず、圧倒的に成功したとは言えない所が残念です」




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