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実相寺監督と和室と宇宙人 [実相寺監督]

実は初期のウルトラシリーズには、あまり和室が出てこない。理由がちゃんとある。プロデューサー側から禁止されていたからである。なぜ禁止されていたかと言えば、海外への輸出を考えているから、できるだけ和風のものは避けようということだったようだ。それに時代設定が撮影時のリアルタイムではなく、20世紀末のSFということもあったろうと思う。

でも撮影に当たり、その時代設定のことはほとんど意識していなかった。未来の街を設定すると、乗り物、小道具、通行人からすべてを作画合成かセットか、特注のオープンセットで処理しなければならないからである。別段禁止事項ではなかったかもしれないが、関係者のあいだでは暗黙の了解というのは、あったようである。

飯島さん(監督)に『お前が全部ぶちこわしたんだ!』と、苦笑いしながら指摘されたことがあった。どうやら、一話の中で、『ウルトラマンは二度変身しない』というのも決まりだったと、飯島さんに教えられたことがある。

スポンサーに絡んだ禁止事項は民放テレビの泣き所だが、円谷時代は苦労したことが無い。例えばスポンサーに化粧品会社が付いていると、ドラマの中のどんな家の鏡台や洗面所にも、同じ化粧品が並ぶことになる。もちろん、すべてのスポンサーが無理やり押し付けてくるわけではないが、小道具をそろえる側は気を使うことになる。

禁止されていた和風のことだが、具体的に言われていたのは、畳の部屋は避けるというものだった。スカイドンの回で最後に野点(のだて)を出したが、なんとかして、和風というか畳の部屋を、私は出したかったのだ。

そこでウルトラセブンの際に、ダンとメトロン星人の対決を畳の部屋にしたのである。中へ入って廊下までは、溝の口あたりのアパートで撮り、室内はセットで処理したものだ。畳の間を使った掟破りにさんざん関係者からは文句を言われたが、実は局のプロデューサーが交替したばかりだったので、そのどさくさに紛れてやったのである。

セットで初めて宇宙人が畳の間に座ったので、いたく珍妙に見えた。スタッフも笑いだし、仕事にならなかったことを思い出す。やらせた張本人の私が可笑しくて、最初の『よーい、スタート』は、助監督にお願いした。これで味をしめて、『円盤がきた』の回でもふすまの向こうは別次元というのをやってみたが、これは二番煎じに終わってしまった。(おわり)


★★★★★★★★★★★★
『和風と洋風、どっちがいいかと聞かれたら、個人的には和風である』と、実相寺監督は言っている。便所を除いてとあるが(笑)。理由は次のとおり。家に帰っても靴を履いたままなのは嫌だし、畳に寝転ぶ気楽さは何よりも代え難い。畳表の感触が好きだそうだ。円谷の特撮での禁止事項というのがあったそうだが、禁止されるとやりたくなるのは、どの人間も同じみたいだ。

メトロン星人の回は、遊び心に長けてるというかイタズラ好きというか、実相寺監督は只者ではないと今更ながらに思わせるエピソードである。最初から狙っていたという『畳の間に宇宙人』の絵。監督は、自分は変化球の回を受け持っただけと述べているとおり、変わった演出で人目を引いた数少ない監督で、この監督がいたからこそ、初期のウルトラシリーズが心に残る作品になったことは、間違いないであろう。



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