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コンドールマン(3) ~残そうと思って残るものじゃないよね(脚本家;伊東恒久氏) [コンドールマン]

『コンドールマン』は、原作および設定は川内康範氏が手掛け、脚本は川内康範の右腕とも言うべき伊東恒久氏が担当、そしてコンドールマン周辺のデザインを平田昭吾氏が、敵モンスター一族を成田マキホ氏が担当することが決まった。

平田・成田両氏とも手塚治虫の愛弟子であり、ふたりはこの作品から遡ること2年前、虫プロおよび手塚プロの流れをくむひろみプロで、実写変身ヒーロー作品『サンダーマスク』の制作に携わっていた。このことが、石ノ森章太郎ワールドである『仮面ライダー』や、同時期に始まった『ゴレンジャー』とはまた一味ちがう独特の世界観を呈することにつながった。

また前二作(レインボーマン・ダイヤモンドアイ)は東宝制作であったが、ヒットメーカー・平山亨氏がいる東映に制作依頼をしたことも、新たなるヒーローの流れを作るきっかけとなったと思う。
キャスティングでは、主人公・三矢一心役を『彼の目がいい』と川内康範氏の鶴の一声で佐藤仁哉氏に決定。

レインボーマンといい、このコンドールマンといい、顔全体をマスクで覆い目だけを出すヒーローの《目の力》を重要視したのは、数あるヒーローの中でもこの2超人くらいだろう。
それでは、脚本家・伊東恒久氏の話をどうぞ。


伊東氏;
「『ダイヤモンド・アイ』が終わってしばらくしてね、川内先生から『今度は東映でやるぞ』と言ってきたのが『コンドールマン』だね」

聞き手;
「東宝とのカラーの違いは気になりましたか?」

伊東氏;
「現場レベルになるとそう大きな違いは無かったんじゃないかな。今でも2時間ドラマなどで活躍されている松島(稔)さんという監督がね、結構熱心な人で、『こういうの、どうですか?』とかいろいろなアイデアを現場で出してくれましたよ。凄い人だなと思った。東映さんとはほとんど初めてみたいなものだったけど、だからすごくやり易かったですよ」

聞き手;
「東映のカラーと川内先生の作風とが合うのかな?」と、一瞬思いますけれども」

伊東氏;
「東映という会社は、結構何でもアリみたいなところがあったからね」

聞き手;
「この作品も、やはり企画書は伊東さんが書かれたんですか?」

伊東氏;
「そうだったと思います。まだどこかに取ってあるはずなんだけどね。どこかに入ったまま見つからない」

聞き手;
「それまでとは違い、ほぼ毎回怪人を出していましたが」

伊東氏;
「予算的には結構頑張っていたと思う。潤沢という訳にはいかなかったかもしれないけれど、東映は予算が無ければ無いなりに、頑張って面白いものを創ることには長けていたからね。『仮面ライダー』もそうでしょう?監督さんも松島さんがさっき言ったような人だったし、奥中(敦夫)さんは割と理論派の人だった。

おふたりがそれぞれの個性を発揮して、作品を面白くしてくれました。それと特撮研究所というところも、頑張ってやってましたよ。矢島(信夫)さんもまだ若くてね。どの回だったか、観ていビックリしたことがあるんですよ。星美智子さん(一心の母役)と多々良純さん(一心の父役)の何気ない会話だったんだけど、その時の星さんの芝居。本当にわずかなセリフなんだけど、それが泣かせるんだなぁ。

物語に直接関係のあるセリフでもないし・・・何でもないセリフ。『ああ、やっぱり映画で鍛えてきた人達はすごいなぁ』と思いましたね。それで『これは迂闊なセリフは書けないぞ』と、思ったんですよ。こういう芝居を引き出した監督もスゴイとおもうけどね。

あと、この作品で思い出すのは、東映で打ち合わせをした帰りに電車がストになって帰れなくなったことがあるんです。その時プロデューサーが車を手配してくれて、自宅まで送ってくれたんだけれど、その車がね、『特別機動捜査隊』という番組でパトカーとして使っていた車だったらしくて(笑)。

うしろにはカーテンが掛っていて、だから追い越しをかけようした車が、覆面パトカーと勘違いしたのか、スーッと下がっていったことがあるんですよ(笑)。運転手も『気づいたみたいですねぇ』って、言ってたね」

聞き手;
「伊東さんのお書きになるものは、どちらかというと人間を非常に冷徹な目で見ているような気がしますが、その辺はいかがでしょうか?」

伊東氏;
「やはり物書きとしてはね、物事を冷静に見なければいけないという部分もありますよ。書くものというのは、どうしても客観的にならざるを得ない。そういうところはある。でも基本的には僕は人間というものを信じたいと思っています。どちらかといえば、性善説。そうじゃないと、生きていくのがしんどいでしょう。

でも最近の状況をみると、すぐにキレて人を殺してしまうとか、この先どうなるんだろうと暗澹たる気持ちになる事件も多い。社会とのパイプを断ち切るような方向性に行ってしまうことも、増えているでしょう。バーチャルな世界に逃避してしまうとかね。

そりゃあ、人間おかしくなりますよ。子供の頃からそういう世界に育ったら、現実の世界に戻るまでに何十年とかかるんじゃないか。別にバラ色の未来を信じているわけじゃないけど、こんなことで大丈夫かと思うことは多い」

聞き手;
「お書きになったものがこうして長い年月が経っても、決して薄れることのないインパクトを持ち続けている秘密が判った気がします」

伊東氏;
「残そうと思って残るものじゃないよね。やはりそこには普遍の真理みたいなものをいかに盛り込んでいくか、ということだと思う。例えば『ダイヤモンド・アイ』だって、前世魔人だから、前世が悪だからといって殺せばいい、倒せばいいとは言ってないつもりなんだよ。何かしら、救いの道は無いかとね。そういうことは、どの作品でも考えてきた事なんです」

聞き手;
「伊東さんは子供番組をメインに長年やってこられたわけですが、その魅力というにはどの辺にあるとお考えですか?」

伊東氏;
「やはり自由に発想してできるということだと思いますね。制約はもちろんありますよ。でも一般のテレビドラマは、誰それという役者のスケジュールを何か月押さえました、というところから始まるでしょ。でも僕はそういうことにとらわれないで、面白いものを創りたいと思うんです。あと僕の場合、たまたまこういうジャンルからスタートしたということもあると思う。

漫画は今でも好きだしね。子供に良いものを見せたいという文化庁みたいな気持ちは、あまりないんですよ。僕らは子供の頃、江戸川乱歩ものをドキドキしながら読んだ。そういう気持ちを味わえるようなものが書きたい、そう思っているんです。だからこんなに長くやってきても、飽きるということは無い。記憶力などは落ちてくるけど、空想力とかアイデアというものは、年をとっても減らないような気がするんです」


★★★★★★★★★★★★
伊東恒久氏は、1967年の『キャプテンウルトラ』で脚本家デビュー。その後アニメーションと変身ヒーローものを中心に、数多くの作品で現在もご活躍されている。氏がいうように、現代社会に生きる人間はどこかおかしい。みんながそう感じているはずである。筆者が小さい頃は、外でみんなと遊ぶことで人間関係は育まれた。

思いやりの心は、小さい頃の遊びの中で作られるものだと思う。物が世の中に溢れすぎている。経済がすべてではない。不便ということの中にも、学ぶべきことはたくさんあると思う。日本人の教育は、ここのところがもっと必要なのではないだろうか。人間関係が希薄な社会では、日本の将来は暗い。


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