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バルタンの一族 ~ウルトラマン一族のライバルといえば、このお方! [怪獣論・怪獣学]

初代バルタン星人は、ウルトラマンによって円盤を爆破され、星空のかなたに消えたはずだった。だがバルタン星人は、そのあまりに強烈な印象だったがゆえに、その後いく度も眠りから覚まされることとなり、今日まで続くウルトラシリーズに、繰り返し姿を変えて登場してくる。今回は、このバルタン一族を振り返ってみたい。

《初代バルタン》
ウルトラマンは、バルタンを捕まえた。絡み合い、もつれあいながら、空を飛ぶ両雄。ついにハサミを折られるバルタン。そしていち早く地上におりるウルトラマン。腰を落とし、ゆっくりと夜空の闇の中を探すウルトラマン。バルタンを見つけた! 

彼が両腕を十字に組んだ次の瞬間、白熱のスペシウム光線が闇を引き裂いて飛んでゆく。バルタン目がけて炸裂したその白熱光線は、みごとに命中! 燃え上がるバルタンの身体は、地上へ落下していく。1匹のバルタンを葬ったウルトラマンの目から発せられた光線が、上空に潜む円盤の姿を浮かびあがらせた。

その円盤の中にいる20億3000万のバルタン達は、ウルトラマンによって彼方へと運び去られていく。やがて地平線の向こうで一筋の輝きと共に、20億余りのバルタン達の野望は消えた。

飯島敏宏監督の演出によるこのウルトラマンとバルタン星人の戦いに地上戦は無く、すべて空中戦であるにもかかわらず、この迫力とスピード感。初期ウルトラシリーズの中でも、傑作中の傑作である。


《二代目バルタン》
バルタン星人の逆襲編ともいうべき『科特隊宇宙へ』に初代バルタンが登場しないのは、着ぐるみが盗まれたためという噂が当時まことしやかに流れたが、真偽のほどは定かではない。

初代バルタンはセミ人間の改造であるがゆえに、現デザインからイメージをくみ取りながらも独自の造形へと発展していったが、『科特隊宇宙へ』の新バルタンは、成田亨氏のデザインにきわめて忠実に作られている。全体的に細長い印象で、セミと言うよりショウリョウバッタを連想させ、ハサミも小さくなった。

口部は中央の結節以外は失われ、これを囲む頬(ほほ)部分も判然とせず、あごひげのごとき頸部も無くなり、代わりに胸部の面積が大きくなり、ここにスペルゲン反射鏡が装備された。身体の色は銀色とアオ色ではなく、枯れ木のごとき深い茶色であった。

ウルトラをDVDやビデオではなく、小さい頃からテレビで見て育った世代なら、初代バルタン星人こそ唯一絶対であり、どうしてもこれを基準として他を比較してしまう傾向にある。二代目バルタンは、それなりにバランスが取れているし、V字触覚も眼も光るし、スペルゲン反射鏡という新兵器も備えていて立派な完成品である。

しかし初代と比べれば、如何せん分が悪い。初代バルタンは、奇跡の産物と言っていいだろう。本作の中で、地球に残ったイデ隊員たちが戦うバルタンの大群は、当時マルサン商会から発売されていたソフトビニル人形と同じ物で、形態的には初代バルタンである。

なお、メフィラス星人の回に登場した通称三代目は、二代目着ぐるみの一部を塗装したものであり、形態は同一である。


《バルタン星人ジュニア》
恐竜型怪獣のつづいた『帰ってきたウルトラマン』は、2クール目から強化策が導入され、4クール目で遂に過去の名作宇宙人を復活させた。頭部は明らかに初代バルタンを模しているし、ジュニアという設定なのでハサミが小さいが、より堅牢そうに改造してある。

しかし、造形物の出来がいまひとつである。格子戸のごときV字触覚、目玉焼きを張り付けたような眼球、するめいかのような口。茶色+黄色という体色。全体像としては、あまり高評価とは言い難い。『ウルトラファイト』よりも予算は多めのはずだが、良い出来栄えとは言い難い。

デザインに忠実ではあるが、全体をつらぬくバランス、質感、配置の妙といったものに、大人のセンスが感じられない。番組が視聴率アップを狙って、毎回2体の怪獣を登場させているこの時期、ビルガモという共演者のユニークさも捨てがたいが、ウルトラマンの好敵手なら、バルタン1体の着ぐるみに賭けてもらいたかったという気がする。


《パワード・バルタン》
海外進出に執念を燃やす円谷プロが、『ウルトラマンパワード』において、過去の怪獣の全面的リニューアルを敢行した。

成田亨氏の完成したデザイン、それを具現化した高山良作氏の造形を改変するということは、ある意味で不可侵領域である聖地を侵すようなものだが、それを実行するにあたり、担当されたデザイナーのご苦労は、並大抵なものでは無かったと思われる。

好き嫌いは別れるだろうが、一味ちがったアレンジのバルタンが仕上がった。初代バルタンのもつエッセンスだけを残して、あとはすべて切り捨てた。V字触覚、複眼、ハサミ、口吻(こうふん;くちさきのこと)、先の尖った靴というキーワードだけを活かし、それ以外は自由にデザインされた。

その結果、全体が鋭角的になり、細長い三角形の集合によって構成されているが、これはバルタンの真実に接近したといえる。

もう一つ画期的なのは、背中の羽である。初代ドラコと同じ透き通った羽である。全身は青緑色で、クサカゲロウのイメージがある。異星人というものが我々に与える不気味さを、全体のアンバランスさが演出した形だ。


★★★★★★★★★★★★
筆者は残念なことに、『ウルトラマンパワード』を映像で見たことが無い。写真で見る限り、バルタンには見えない。やはりどこかで『オリジナル』には敵わないという思いが、強烈に働いているからであろう。柔軟性のある若い人の頭なら受け入れることは可能だろうが、筆者は頑固者なので、初代と二代目がバルタン、それ以外は異星人!(笑)


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