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怪獣デザインの誕生  ~成田亨氏と怪獣創作秘話 [怪獣論・怪獣学]

昭和40年『ウルトラQ』製作半ばの時期に、成田亨氏は円谷英二氏自身によって円谷特技プロに招かれ、怪獣創作を委託される。最初のデザインはすでに井上泰幸(*)氏が手掛けていたペギラの引き継ぎだったが、成田氏によるオリジナルデザインは「ピーター」から始まり、のちに「ガラモン」などのユニークなものを続々と生み出すことになる。

番組の怪獣路線強化に従い、怪獣設定の幅が広がり、デザインの発想が自由になった。怪獣のモチーフは王道であった「生物」の枠を大きくはみだし、「日用品」から「完全な空想型」まで一挙に拡大した。

例えば、「ナメクジ→ナメゴン」 「風船→バルンガ」 「財布→カネゴン」といったように、自由度・想像の域は大きく広がった。そして成田氏は怪獣創造に対して独自の哲学を打ち立てた。
①単に既存の生物を巨大化させるのではなく、独創的であること
②生理的不快感を与えないこと

この哲学をベースにして、怪獣は妖怪や魑魅魍魎(ちみもうりょう)の類ではなく、人間の純粋な想像力が生み出すまったく新しい「生物」であるということを認識しながらデザインすることが、芸術家としての正道であるという信念が氏にはあったのである。

世代を超えて今なお多くの人々に愛され続ける怪獣たちの多くが「成田亨デザイン」によるものであることは、まさに氏の考えが正しかったことを証明していると言えよう。
(*)特撮美術のミニチュアセットをリアルに創り込む先駆け的な人物。(2012年2月他界、享年90歳)

革命的デザインの代表である、いくつかの怪獣をみていこう。既存生物からヒントを得て、これをデフォルメ・合成し、創造した怪獣ガラモン。ヒントはコチという魚の唇だというが、原型をとどめるところはその口だけで、他は全くの創造である。

人間の体型を基本に置きながらも、全体を独特の海草のようなヒレで覆ったために、そのシルエットは著しく人間から離れた。2本の足は直立だがワッカ状の骨が連なる形に処理され、また両手は身体の正面に近い所から生えており、どちらの処理も尋常では無い。

このような極端に制限された動きしか出来ない手が、何の役に立つのかという疑問を、観るものに抱かせるかもしれないほどだ。

魚の唇、骨、海草(のようなヒレ)というほとんど脈絡もない素材を結合して、どんな生物にも似ていないシルエットをもつこの怪獣が、美しくないかと問われれば、否である。このガラモンの着ぐるみは、高山良作氏という造形家によって命を吹き込まれ、「見事な美」としてこの世に誕生した。

きりりと引き締まった顔は、知的にさえ見える。背をかがめて入る着ぐるみのシルエットは、さらに人間ばなれしている。ロボット怪獣という設定にもかかわらず、メタリックな機械怪獣を無視したセンスもスゴイが、侵略者の手先でありながら人を食った形態やしぐさが、逆に不気味でもある。

頭は財布、胴体は妊婦であるというカネゴン。怪獣の素材があらゆる所に存在するということを知らしめた傑作怪獣である。財布はともかく、これに巻貝のイメージを重ね合わせたところが、成田氏ならではの発想である。全身の装飾もどうやら巻貝のイメージで統一されているようだ。

チブル星人をはじめ成田氏のモチーフには貝殻がしばしば登場し、ユニークなデザインに一役かっている。胸にはレジ、かかとには豆電球と、荒唐無稽な形態でありながら、無条件に受け入れられる説得力を持ち、違和感が無い。側面から見ても、尻尾と前方に突き出た口あるいは目が、デザイン上のバランスをよく取っている。

最後に「完全空想型」ともいうべき、純粋に机上から生まれたデザインの原点である「ケムール人」。 もはや頭の中で湧き上がるいかなるイメージもその範疇としてとらえ、一切の制約を取り払い、ある意味では純粋芸術の世界に限りなく近づき始めたのである。

もはや真っ白な画用紙の上に画家が自在にイメージを描くという行為において、怪獣デザインも抽象芸術もなんらのへだたりは無い。発表の仕方と対象が異なるだけで、芸術という領域における優劣など無いと言っていい。人を引き付ける成田デザインの魅力は、まさにその点にあるのではないだろうか。


★★★★★★★★★★★★
小さい頃には、誰もが怪獣の絵を描いて遊んだ記憶があると思う。ウルトラ怪獣を真似て描いたり、自分の考えたオリジナル怪獣を描いてみたり・・・。小さい頃は誰もが成田亨氏と同じ能力を持っている(笑)と言っても過言ではないのだ。

その後成長して、どの方面に自分の興味が移っていくかによって、怪獣(美術)を卒業していく者と関わり合いを持つ者に分かれていくわけだ。筆者は残念ながら鉄道方面に興味が移ったが、それでもまったく忘れることがなかったのは、

怪獣という生き物に魅力を感じていたからだということに、おじさんになってから気付いた次第だ。今でもエースまでなら、怪獣の名前と顔?が一致する自信はある。ヒーローと一緒に怪獣たちもセットになって、自分の中で永遠に輝いているのだ。

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四足怪獣の王道「ネロンガ」  ~形態学的怪獣論1 [怪獣論・怪獣学]

ベムラーやレッドキングが二脚怪獣の決定版なら、ネロンガは四脚怪獣の決定版を意図して、デザインされたという。成田亨氏のデザインでは、ウルトラQに出てくるゴルゴスに似て、うずくまる山のような体形に顔が付いている。

色彩を派手にしようと、背中にトラの模様をヒントにして黄色を導入したということだが、当初からネロンガはパゴス(ウルトラQ怪獣)の改造が決まっていたらしく、形態的にさほどの独創性は感じられない。顔も東宝怪獣バラゴン以来の「鼻にツノ、耳に飾り」というパターンを継承している。

下あごから生える2本のキバが、唯一の特徴とも言える。だがこのキバこそが、ネロンガをユニークな顔を持つ怪獣へと変貌させた理由であった。

ネロンガはもっとも似顔絵の描きにくい怪獣のひとつである。記憶だけを頼りに一度描いてみると判るが、ほとんどバランスを取るのに失敗し、まとまりの無い顔になってしまうだろう。元々ネロンガの顔は、うまくバランスを取るようには出来ていないのである。

下あごからキバが生える怪獣の先駆けは、言うまでもなく「ガメラ」である。ほとんど唯一の装飾であるこのキバがガメラの顔を単なるカメと区別している点で、驚くべき独創性と言わざるを得ない。

ガメラの場合、2本のキバは下あごから外側に向かって逆ハの字に開いているため、顔に刺さることは無く、下あごの形は大きく広がる必要が無い。

ところが、ネロンガは違う。何気なく描かれた下あごのキバを収めるため、造型家佐々木明氏は、キバの生える部分を思い切り外側へ広げたのである。さらにキバがぶつかる上あごの部分を、内側へ若干えぐった。

このためにネロンガの正面からの顔は、あえて言えば、「ドリフ・志村けん氏のアイーン」顔とでもいうべき、独特の表情を持つものになった。まるで笑っているかのように、閉じることもできない大きな広がった口。強烈な個性の顔の持ち主となった。

怪獣デザインにおいては、いわゆるカッコイイ怪獣は、頭も口も鼻孔も小さくなる傾向がある。その方が全体のシルエット的にも、また細部のバランスにおいても、まとまりが良いのである。ネロンガは、まさにこうした流れの反対側に位置している。

整然という概念からは外れた存在の、常識外れの不思議な魅力の顔を持つ怪獣である。ネロンガの表情を独特にしている要素のもう一つは、「目」である。もう少し正確に言うと、眼の周りを覆う高まり、つまり「眉」の部分である。

通常ここは、凶暴な表情を演出するために吊り上がることが多い。だがネロンガの眉は、むしろ下がっている。このため角度によっては、困ったような、泣いているような、何とも不思議な表情を醸しだす。

顔面の鼻先から生えているツノは、単なる円錐形では無い。円錐をいちど潰して、二か所に折り目を付けてから、再度膨らませてできたような円錐形をしている。さらに耳に相当する部分から出た触覚は、後ろになびいている時はツノとキバとほぼ平行に位置し、触覚を回転させて前方へ向きを変えると、ツノの頂点で三つがまとまるような形態を取る。

ネロンガのデザイン画ではこの触覚は描きこまれていないので、いつ、どんな理由で造形する時に付け加えられたのかは、不明である。怪獣ネロンガの着ぐるみに入っているのは、ご存じゴジラに入った中島春雄氏である。ネロンガの着ぐるみはゆったりと出来ている感じで、それが怪獣の重量感・巨大感を表現するのに、大いに効果を発揮している。

ウルトラマンにその巨体を叩きつけられると、画面全体がダイナミックに躍動するのだ。中島春雄氏の演技が、ネロンガでなければ出来ない動きを見事に表現していて、「怪獣に命を吹き込むこと」の良いお手本を見せてくれている。

ウルトラマンの水準の高さを支えている両雄、洗練されたバルタンと土臭さのネロンガ。怪獣デザインの原点としてのネロンガの魅力は、今も新鮮である。


★★★★★★★★★★★★
筆者はネロンガという怪獣は、正直なところ、あまり好きではない。やはりカッコよさという点では、マイナス点が大きい。バルタン星人のスマートさが、その差をより広げる。だが、記事は、「四足怪獣の元祖はネロンガにあり」という。それは、なんとなく納得である。

何事も元祖は、カッコわるいのだと思う。そこからすべてが始まるのであり、そこから進化して、より良いものが生まれていくのだから。「ネロンガ」がビッグバンを起して、「大怪獣」という宇宙が限りなく広がっていくのである。
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正統派怪獣とは  ~形態学的怪獣論2 [怪獣論・怪獣学]

前回はネロンガのユニークさを語ったが、造型の原型になったのは、東宝怪獣のバラゴンだ。この「バラゴン」の背中の装飾はよほど優れていたのか、「ネロンガ」はさらに「マグラ」、そして「ガボラ」へと改造を重ねていった。

1話完結の怪獣番組において、1クール(1クールは3か月分、13週分を指す)の中で3回同じ着ぐるみを改造して使用した例も、珍しいのではないだろうか。むろん、それぞれが単なる改造ではなく、立派なオリジナリティを持つに至っているのは見事なものである。

印象としてはあまり強くない「マグラ」だが、なかなかの力作である。全身が真っ黒という点が斬新だ。成田亨氏のデザインでは、ハリネズミのごとく黒いトゲの集合体である。レッドキングとの兼ね合いもあったのか、尾の部分には共通項が見られる。

どこまでネロンガを改造する予定だったのか詳細は分からないが、ネロンガの着ぐるみをすっぽりと包んで作ったようである。顔の辺りにネロンガの雰囲気を残しながら背中の装飾は隠れ、剣竜のごときヒレとなっている。ツノもツメもキバまでも黒いという徹底ぶり。

雑誌のグラビアなどで白いレッドキングと向かいあうと、好対照を成していた。ここまで改造したのなら、もう少し活躍の場を与えてもよかったのにと、惜しい気がする。

ガボラの場合は、はっきりと予算を抑えるための改造だったようだ。ガボラのデザインを見た金城哲夫氏が「成チャンは天才だ」と叫んだというエピソードは、芸術家としてのセンスを絶賛しただけでは無いというニュアンス(予算を抑えるセンスも抜群だ)がおかしみを誘う。

鳥のくちばしとも花弁とも見えるヒレの中から顔が現れるという発想は、とても独創的で真似が出来ない。閉じている時は細長い骸骨の化石のようにも見える。開いたときには襟のようにも見える。いずれにしても摩訶不思議な発想で、まさに「天才」の名に恥じない。

このヒレに硬い質感を与えて、ウルトラマンとの決戦シーンでも形態を保ったままに仕上げた造型家のセンスも、また見事であった。付いていたツノを切り落とした鼻の処理も自然で、ライオンの鼻を思わせる出来映えだ。

ネロンガ、マグラ、ガボラ、そしてバルタン星人の造型は、いずれも佐々木明氏だ。成田亨氏の武蔵野美大の彫刻の後輩で、早くから外注の造型家であったという。

ウルトラ怪獣のイメージを決定づけたのは、もちろん高山良策氏の造型技術であるが、要所要所に現れるこの佐々木造型の怪獣たちも、最大級の評価を受けるべき傑作ばかりである。佐々木明氏は、ウルトラ怪獣の重要な部分を担った芸術家のひとりであることに間違いはない。
*造型家・佐々木明氏へのインタビューは、「初代ウルトラマンの思い出2」内にあります。

ところで、怪獣の「正統」とは何だろうか。本来、怪獣に正統も異端もあるはずがない。異形の生物が「怪獣」と呼ばれるなら、そこに形態としての制約があるのは不自然であると言える。だが「怪獣」といえば、やはり『二脚恐竜型』こそが正統という暗黙の了解が存在するような気がする。

我が国最初の本格的怪獣であるゴジラのイメージが、いかに影響力が強いかという証明でもあろう。怪獣デザイナーは「代表作」を作ろうとするとき、必ずと言っていいほどゴジラを念頭に置き、そこにどこまでオリジナリティを付与するかという作業に移るものである。

歴代ウルトラシリーズの第一話の登場怪獣、そのほとんどが一角獣の形態(ゴメス、アーストロン、ゴルザ、マグマ大使のアロン等)である。日本初の本格的特撮テレビとなったウルトラQでは、企画当初は怪獣路線では無かった点を考慮しても、『二脚恐竜型』のシルエットを持つ怪獣はゴメスとペギラのみである。

ゴルゴス、パゴス、モングラーと思い出してみても、四脚恐竜型が多い。つまり、『二脚恐竜型』が怪獣の正統派と見なされるようになったのは、ウルトラマンという超人の出現以降なのである。それは『超人対怪獣の格闘』シーンという絵を作るのに、最も適していたからに他ならない。

ネロンガやゲスラのように立ち上がるものを除けば、完全に伏せたままの四つ足怪獣はスカイドンやガマクジラなど数頭で、ウルトラマンはこれらと引き起こすかまたがるという困難な闘い方を強いられる。そのためだろうか、『二脚恐竜型』に次いで多いのが『人間型』なのである。

ヒドラ、アントラー、ドラコ、キーラなどのように、『人間型』と『二脚恐竜型』の中間のようなデザイン的処理をされて、いずれも格闘しやすいスタイルに仕上がっている。  (つづく)


★★★★★★★★★★★★
形態学的怪獣論という、なかなか面白い学問(だと思っている筆者だが)に、興味が向いている。怪獣を適当にデザインしても、無意識のうちにヒーローと格闘しやすいようなデザインになっていくということだ。そういえば、子供の頃に怪獣図鑑を見ていて憶えているのだが、

「自分が考えた怪獣」の優秀作に当選した怪獣は、『目玉無き目とキバをむいた口が中央にあって、その周りにヒトデのように5本の足が付いていて、それを回転させながら進むという怪獣』で、ちょうど新マンに出てくるバリケーンの頭部だけを縦にしたような形態であった。

その怪獣を映像にしようとしたら、CGを使うほかないような感じである。人が入るという大前提が、実は怪獣デザインをする上での最大の難問になっている。

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正統派怪獣からの脱却  ~形態学的怪獣論3 [怪獣論・怪獣学]

自然界にあるあらゆる生物や静物の形・模様・デザインを使って怪獣化した『ウルトラQ』とは異なり、また同時期スタートした『マグマ大使』のように2週間で怪獣1体という緩やかローテーションとも異なる、週に1体必ず格闘できる怪獣を登場させる『ウルトラマン』では、従来からの『二脚恐竜型』『四脚恐竜型』『人間型』を適度に織り交ぜて、視聴者に与える印象を多様化する必要に迫られた。

絶えず新鮮な感動と美を追い求めることが、ウルトラのスピリットでもあった。まずそれは、すでに使った怪獣の着ぐるみを改造する「再生怪獣」に現れた。ネロンガ、マグラ―を経て生まれた怪獣ガボラの「ひれ」である。

この「ひれ」は翌週放映したジラースでは「エリマキ」という形で現れ、まったく別のシルエットをもった怪獣に再生して見せた。さらに言えば、ガボラで頭に付いていたこの「ひれ」をもっとうしろの尾の方に移動させて、ケムラーの「甲羅」に変化させたとみることもできる。

そしてこれに続くように、既成概念を打破する画期的な試みが提示された。人間がふたりで演じる着ぐるみの誕生であった。第一話放映からまだ1クール内という時期に、このアイデアには驚かされる。

その第一弾は「ドドンゴ」である。某ビール会社のトレードマークを彷彿とさせるそのデザイン。しかし、中国の「麒麟」は鹿の体に牛の尾と馬のヒヅメを持つ一角獣という妖怪の一種であるというから、ドドンゴとは印象が異なる。

四脚恐竜型の怪獣の着ぐるみでは、後ろ足を折りたたまないと人間が入れない点が問題だった。人の手が脚より短いこと、人と動物では後ろ脚の屈曲が異なることが原因であるためだ。馬や鹿のようなシルエットの四脚怪獣はできないものか。これを解決したのが、人間を二人入れるという発想であった。

まさにコロンブスの卵である。後脚はともかく、前脚の屈曲の様子は驚くほど動物に近づいた。ふたりで操作するので、まさに「怪獣二人羽織(*)」である。これはウルトラマンに対しては大きさで威圧感が生まれ、大怪獣の風格が出るという効果があった。

デザイン自体のシャープな印象も秀逸だが、造型の見事さは特筆に値する。独特の悲しみを帯びた端正な顔、首から尾にかけて流れるようなライン、躍動する全身のしなやかさ。高山造型の代表作のひとつと言えるだろう。
(*)「かいじゅうににんばおり」と読む。 「二人羽織」は、演芸会等での笑いを誘う出し物のひとつ。

ドドンゴは第二次怪獣ブームの中で、多くの継承者を生んだ。ブロッケン、ジャンボキング(いずれもウルトラマンA)を見ると、姿形の妙という以上に、話の要所を飾るための大怪獣としての存在という印象が強い。

ストーンキング(ジャンボーグA)はよく言えばオマージュだが、独自性という点では苦しいものがある。動きのしなやかさ、前半身と後ろ半身の自然なつながりなどは、どれもドドンゴを凌駕できていない。それだけドドンゴが偉大だったということだ。

ドドンゴが前後に人を配したのに対して、左右並列に人を配したのが「ペスター」でをある。2匹のヒトデをコウモリの顔でつなぐという発想は、ただ事では無い。成田亨氏の感性の豊かさにただただ、脱帽である。単にヒトデを並べるだけでなく、腹部を白く抜き、周囲を放射状のシマ模様にまとめた点が秀逸だ。

背部は一面びっしりと平坦なうろこで覆われ、重厚感をだしている。全体の大きさもさることながら、着ぐるみの重量も相当なものらしく、脚の辺りのタルミも味わいがある。惜しいことに格闘に向いて無いためか、ウルトラマンとは一度も相まみえることなく終わった。

ウルトラマンが消火作業の合間に放ったスペシウム光線の一撃で、あっけなく絶命してしまったのである。ドドンゴは実在する四つ足の獣に類似の形態が見られるが、ペスターのような形態は、自然界には見られない。そのあまりの独自性ゆえに、このようなシルエットを持つ怪獣は、今日に至るまできわめて少ない。

わずかにフリーザーキラー(オリジナリティの面で問題あり)や、顔は二つあるが体が左右に並列という点でダブルキラー(ともにジャンボーグA)、エイリアンメンジュラ(ウルトラマンティガ)などが散見されるに過ぎない。

前後にふたりの着ぐるみは、他にも『怪獣王子』のネッシーなどにもみられるが、左右並列の着ぐるみはさすがに円谷プロ以外の作品には出ていないようだ。それだけペスターのイメージが、のちのデザイナーにとっても強烈すぎるのだろう。

究極の多角形としての円、または球がある。すでに『ウルトラQ』のバルンガが先駆であるが、そのバリエーションが『ウルトラマン』のブルトンである。変形怪獣もここまで来ると、ウルトラマンとも絡みようがない。

球体怪獣は他にも、グローバー(ジャイアント・ロボ)があり、球体に変形する怪獣としてグロン(仮面の忍者 赤影)、ウータン(ジャンボーグA)、円盤状怪獣としてタイヤ―魔、ベンバーン(以上サンダーマスク)、バルガラス(流星人間ゾーン)、球体怪獣の変形としてタッコング(帰ってきたウルトラマン)、ブラックエンド(ウルトラマンレオ)などがある。いずれも正統派怪獣達に混じって、斬新な形態で楽しませてくれる者達だ。 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
筆者には、名前を聞いただけでシルエットや映像がすぐに浮かぶほど、懐かしいペスターやドドンゴだが、この種の姿の怪獣で知らない名前を聞くと、どんな姿なのか検索して調べずにはいられないほど、この二人羽織の怪獣にはとても情愛のようなものを感じている。

だがいずれの場合も、元祖を超えるような出来映えのものは中々出現しないようだ。それは、この元祖の2匹それ自体が、特異な姿をしているからで、後に続くデザインを描くことが非常に困難なためだ。前後・左右には、ドドンゴ、ペスターを超えるような怪獣はもう出現することは無いと思う。

あと残っているとすれば、マジンガーZのピグマン子爵のような、肩車をした形態の怪獣ぐらいだろう(笑)
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